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『じゃ、頼むわね。直人君』
大学の講義が終わり、
家に帰ると叔母から珍しく頼みごとをされた。
俺、芹沢直人は現在地方の大学に通うため叔母の家に居候中。
最初は普通に1人暮らしをしていたのだが、金銭面的理由からお世話になることにした。
最初は居候ということで肩身の狭い思いもしたが、親切な叔母夫婦のおかげでそれは2日ほどにどどまった。
しかも今では息子のように接してくれている。
そして、そんなふうにお世話になっている叔母からの頼みごとを受け、家を出てきたのが一時間前。
今の俺はというと
「おにいちゃん、おすなであそぼー」
「だめだよ、おにいちゃんはかくれんぼするの!」
「えー!あたしとおりがみはー?」
‥なぜか幼稚園の子供たちの遊び相手にされそうになっている。
そもそも俺は叔母の息子、つまり俺にとっての従兄弟を迎えに来ただけなのだ。
それなのに園内に足を踏み入れた途端この有り様。
なぜこんなことになったのか‥。
そんなことを考えているうちに子供たちの数が増えきてしまった。
囲まれ身動きできない状態で服を引っ張られる。
「「あそぼー!」」
「いや、俺は遊びにきたんじゃなくて‥って痛っ!」
男の子が面白がってパンチをしてきた。
子供だからといっても加減をしらないから地味に痛い。
「っやめ‥いたいって!」
そんなふうに俺が困り果てていると
「みんな何やってるのー?」
ひとりの若い男の人の声が飛んできた。
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