いち

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「りょうせんせいだー」 その“りょうせんせい”と呼ばれた男の人が来るなり、さっきまで俺のところへいた女の子たちが彼の元へ走っていく。 「遊んでもらってたの?」 「ううん、まだー」 「そっかぁ、じゃあ残念だけど、そろそろお帰りのお時間だからお仕度してね?」 「はーい」 「ほら、みんなも、ね?」 「‥わかったー」 俺を囲んでいた子たちも彼に促され皆一斉に室内へと入っていく。 どうやら俺の姿を見るなり状況を察してくれたらしい。 「すみません、ご迷惑をお掛けしました」 子供たちが全員中へ入ったのを確認すると、“りょうせんせい”は俺のもとへ来てぺこりと頭を下げた。 「い、いえ、そんな気にしてませんから‥」 俺がそう言うなり、安堵したようにふわりと彼が笑う。 そのあまりの品の良さに男相手とはいえなぜか胸が高鳴った。 (見た目からすると同い年ぐらいだろうか‥。) (俺とは大違いだな‥。) 「お迎えですか?」 「えっ?あ、はい!」 突然の問いにテンパっている俺を見て、ふふ、と彼が笑う。 「熊田正義、なんですけど」 「お兄さんですか?」 「いえ、従兄弟なんです」 俺がそういうと納得したような顔を見せて 「じゃあお連れしますね、」 と淡いピンクのエプロンをなびかせながら教室へ走っていった。 ‥なんか、すごく素敵な人だ .
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