完成してしまった!

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「えー…皆さんに報告がありまーす…。制作班が、とっても頑張った結果、俺の予想より、かーなーり早くクラス全員分のメイド服が出来上がってしまいました」 やたらテンションが低く、そう報告すると雪路は深い溜め息を吐き出した後、意を決した様に顔を上げ、ばん! と勢いよく教卓を叩いた。 「なーのーで、今! これから皆で試着をしたいと思います!」 「なっ! 何だよそれ! 雪路、却下だ却下!!」 「却下なし! 異論は認めませんっ! はい、りっくん逃げない!! 全員強制参加です! 逃げた人には、もれなくスカート丈を短くするという特典がつきます!」 逃げようとする里久に釘を差すと雪路は教室内を見渡す。 ああ…パニクってんだね、雪路も。 逃げ出そうとする生徒がいないのを確認すると雪路は声を張り上げる。 「じゃあ、制作班の皆、メイド服を渡して。メイド服渡された人は男らしく腹括って着替て。で、サイズが合わないだの何だのは制作班に直接相談するよーに、以上! 健闘を祈る!!」 そう言うと雪路は自分の席に戻る。 その道中、制作班の一人から雪路用のメイド服を受け取っていた。 メイド服片手に席に戻ってきた雪路はいつになく真剣な表情で、メイド服を見据える。 真剣な横顔だけを見ると、誰がどう見ても美形男子なのだが、残念な事にその手に持たれているのは一着のメイド服で。
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