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「館だな。」
「館だな。」
僕こと『狗濱星夜(イヌハマセイヤ)』と悪友の『猫塚時雄(ネコヅカトキオ)』は今、プライベートで『咲雨ノ館(サキサメノヤカタ)』という旅館に来ていた。
不気味な洋風造りで、館と呼ぶに相応しい容姿だ。
僕は一切信じないが、『幽霊が出そうな感じ』と表現するのがいいだろう。
「とりあえず中に入ろうか。」
「おう。…何か、お化けでも出そうだな…」
「まったく…時雄はまだお化けなんて信じているのか?」
僕が呆れながら言う。
「居るっ!お化けは絶対に居るっ!」
(…こうも性格が真逆なのに、何故友達なんかやっているのだ僕たちは…)
僕が扉を開ける。
扉がガラガラと音を立てる。
「ようこそ咲雨ノ館へ!!」
「よ…ようこそ…です。」
二人の巫女服を着た少女が正座をして僕たちを迎える。
「雪氷羅(セッヒョウラ)!そんなんじゃお客様に失礼でしょ!?」
そう言って元気な少女が雪氷羅という少女の背中をバシバシと叩く。
(ち…ちょっと待て。一つずつ丁寧に突っ込んでいこう…まず巫女服!館に巫女服!?ギャップが凄いね!!次!背中バシバシ!こっちの方が確実に気を使うわ!!最後!名前何それ!?セッヒョウラってどんな漢字!?てか何人(なにじん)!?)
「あぅ…」
セッヒョウラと名乗る少女がよく分からない声を上げる。
「も…萌え…」
それに時雄が反応する。
「セッヒョウラちゃん!!俺の彼女にならないかい!?てか何人!?」
「き…生粋の日本人…です…雪に氷、それに修羅の羅と書きます…後、彼女の件は拒否させて頂きます…すみません…」
雪氷羅が深々と頭を下げる。
「いいよいいよ~。またこれから好きになっていってくれればいいから!あ、そっちの彼女!俺の彼女にならないかい!
?」
「いえ、お客様との恋愛は禁止されておりますので。それと、あたしの事は魅羅(ミラ)とお呼びください。漢字の方は魑魅魍魎の魅に修羅の羅でございます。因みに偽名です。」
(偽名…だと?)
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