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「ふぅ、酷い目にあった…」
(階段を男一人持ち上げていくとかどんだけハードな仕事なんだ…てかこの部屋、和室…だと?)
色々ツッコもうとしたその時、扉の方からコンコンと音が聞こえた。
「どうぞ。」
「し…失礼致します…」
扉を開けて入ってきたのは雪氷羅だった。
深々と頭を下げながら中に入ってくる。
雪氷羅が畳の上で正座をし、謝罪をしてきた。
「先程は、私の不注意で_」
「いやいやいや、どう考えても犯人コイツだから。お気になさらず…」
(同級生くらいの年に見えるからか、つい友達と会話をするような感じになってしまうな…相手は丁寧すぎる敬語なのに。)
「い、いえ。私がよそ見をしていたばっかりに…」
「あ、とりあえずもっと楽~に話してくれていいですよ。」
僕が苦笑いしながら敬語を止めるよう促す。
「い、いえ。これが楽~な話し方ですから…」
雪氷羅も苦笑いをした。
「あ、お詫び…と言うとアレですが、これ…」
雪氷羅が後方からお土産に最適な大きさの箱を前に出してきた。
「これは…?」
「当旅館自慢の夜桜饅頭というものです。私の手作りとなっておりますので、お味の方は保障できませんが…」
雪氷羅が少々顔を赤らめながら説明をしてきた。
「ありがとうございます。大切にいただきますね。」
僕がニコッと微笑む。
「あ、はい!…お味の方は_」
「悲観的すぎですっ!」
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