咲雨ノ館~サキサメノヤカタ~

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とりあえず僕は夜桜饅頭を受けとった。 少し手が当たった気がしたが大丈夫_ 「…!」 雪氷羅が肩をビクッと震わせ、 「し、失礼しました。」 と言い、さっさと部屋を出ていってしまった。 (あの怯え方、本当に『軽い』男性恐怖症なのか…?) 雪氷羅の事が気になったが、今はそっとしておこう。 僕は夜桜饅頭を机の上に置き、部屋の中を探索する事にした。 (とりあえず入り口から。) 僕が入り口の扉の前に立つ。 (向かって左側の扉は…トイレに風呂か。もはや定番の配置だな。) 確か、この旅館には温泉があったはずだ。 個室の風呂を使う事は殆どないだろう。 (次。真っ直ぐ行くと…) 先程までいた茶の間だ。 中央には四角い机が置いてあり、床が石造りから畳に変わっていた。 小さなブラウン管テレビが置いてある。 (地デジ化大丈夫だろうな…?_後で確認してみよう。) …とりあえず話を戻す。 茶の間に上がる時、雪氷羅も靴(草履だが)を脱いでいた事から、土足厳禁だろう。 …畳の上を土足で歩く気など全く無いが。 (次。向かって右側の障子の向こう。) 僕は時雄を跨いで障子を開ける。 (寝室…か。) こちらの床は木製。一つに統一する気は無いらしい。 木製の床の上には二つの巨大なベッドと化粧台、それに42型くらいのテレビが置いてあった。 (地デジ化完了っと…ん?) 奥のベッドのさらに奥。 そこに、押し入れらしきスライドドア(?)があるのを僕は見逃さなかった。 (一体何が…?) 僕は押し入れにゆっくり近付く。 押し入れの取っ手に右手で触れた瞬間_ バチッと僕の右手に電気が走った。
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