髪から滴る水滴が涙に見えた

3/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
それから何通かメールのやり取りをした。 突然返信が来なくなる。 そうやっていつも彼は終わらせていた。 だけどきっと翌朝には 『ごめんね。昨日寝ちゃった。』 と、いつものように謝罪のメールが入っているはず。 少し汗ばんだ手のひらを見つめながら 私は数日前の出来事を思い出していた。 『好きだけど付き合えない。』 勢いあまって告白してしまった私に 彼は静かにそう言った。 彼に彼女がいるのを知っていたし、 私をそういう目で見ていないことも分かっていた。 フラれてしまうことを 前提とした告白だったが、 やはりそれを聞いたときはショックを隠せなかった。 心のどこかで "もしかしたらー…"と 期待していた自分がいたからだ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!