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青く澄んだ空に、金に輝く太陽。
美しい空の下、着々と『世界争奪戦』の準備が行われていた。
「戦争、か」
「そろそろですね」
一国の王とその側近の会話が静かな城の中に響いた。人と人が起こす戦争ではなく、これは魔物と人の世界争奪戦なのである。
何百年も前にもこのような戦争が起こっていたらしい。国中の人間が知っている。
「王、姫を呼びましょうか」
「頼む、紫音」
紫音と呼ばれた側近はお辞儀し、失礼しますと部屋を出て行った。
「すまない、颯」
額を掌で支え、小さな声で愛しき娘の名を呼びながら謝った。
これから彼女──颯──に迷惑をかけてしまうと思うと、嫌でもため息が出てしまう。
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