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犯人は複数だった。
テーブルからこっそりと頭だけ出した冬夜は、周囲の360°をぐるりと見渡す。
そこには恐らく三人の男、そして今し方甲高い声でしゃべっていた女が一人、店内を見回っていた。
男三人は軍隊にでも所属していたのだろうか、屈強そうな体つきに銃を構えている様が妙にしっくりきた。
対して女はオレンジ色の派手な髪型に露出の多い服。丸腰なのが一目でわかる。
(……非戦闘要員?)
冬夜は訝しむが、女の態度は好戦的でとてもバックアップには見えなかった。
冬夜が下手に手を出すより相手の出方を見てから判断しようと決断したときだった。
「お、お前たち何者だっ!!」
冬夜の席のすぐ近くのテーブルの下から一人の男が立ち上がった。
(あ、馬鹿っ!!)
冬夜が警告しようとするよりも早く、犯人の一人が素早く銃を構えて引き金を――引いた。
その場にいる全員が男は死んだと思った。
冬夜でさえため息をついて目を伏せた。
しかし、人が倒れる音どころか呻き声すら聞こえない。
しんと静まり返った店内の様子をこっそりと伺う。
男は、冷や汗でびっしょりだったが、笑いながら立っていた。
「は、はっ! 驚いたか! 僕の能力『武装解除(ウェポンリリース)』の力さ!」
少し太った、誰が見てもオタク系の少年は自尊心に鼻を膨らませて、近くにいた犯人の女にアタックしに向かう。
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