act.0~科学都市

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なんでも冬夜たち超能力者の力は、街全体に被害を及ぼす可能性があるからだとか。 「待てっつってんだろうがッ!!」 「うおっあちっ!?」 突如として飛来する炎弾。 ファイヤーボールは冬夜のすぐ横をかすって地面に着弾した。 ――よし、やっと片付いた。 冬夜は安堵のため息とともに、逃げていた足を止めゆっくりヤクザの方を振り返る。 ファイヤーボール――冬夜にも詳しくは分からないが、炎系統の能力をヤクザが使用したのは、文字通り火をみるより明らかだ。 これこそが冬夜の科学都市内における絶対的な勝利条件。 正確には、敵の明確な戦闘意思表示、それこそが絶対ランクの枷が外される最低条件なのだ。 「わりーなおっさん。鬼ごっこは終わりにしようぜ。こっからは逃げないってんなら俺も本気でやる」 急に立ち止まった冬夜を警戒してか、ヤクザも少し離れた位置で身構える。 もちろん、冬夜に戦闘の意思はない。基本的に面倒くさいことは避けたいたちだ。 出来ることなら少し脅して自主退場してもらいたいところだ。
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