act.1~絶対超能力者(マスターズ)

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連日のうだるような暑さに冬夜はがっくりとベンチに座り込んだ。 今は一時間の昼休み、冬夜の前をせわしなく生徒たちが行き来している。 ここ科学都市創立の学園――通称『学びの庭』に通っている生徒たちはほとんどが能力者だ。 冬夜の前を通り過ぎていく生徒たちは、ランクこそ七段階あるものの、将来の日本を背負っていく者たちなのだ。 「あーあ、弁当作る暇もなかったしなぁ……くっ、仕方ない。なけなしのお金でカフェテリアにでも行きますかね」 この暑さでは本当に体がやられる。危険を感じた冬夜は、冷たい飲み物と夏バテ解消の食べ物を求めて、学園にある多数のカフェテリアのうち比較的安い店へと足を運んだ。 冬夜は学園のランク付けを快くは思わなかった。 今金欠に苦しんでいる冬夜だが、実のところlevel7『絶対超能力者』の名を使えば学園から無料で豪華な食事が提供されるのだ。 実際他の絶対超能力者たちは今頃涼しい部屋でうまいものでも食ってるに違いない。 ……当然、心が揺らがないわけではない。金が無い日などはちょっとぐらいいいか、などと思ったこともあった。 しかし冬夜は断固として特権を拒絶した。 自分を普通の生徒の枠から飛び出させるようなことは決してしなかった。 何も冬夜が聖人君子だから、ではない。ただソレを利用し受け入れた時点で、自分が何か巨大な影の枠組みに取り込まれるような気がして仕方ないのだ。
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