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しかし、いくら立派な信条を掲げてもやはり人間空腹には勝てない。
今日はざる大盛にするか、それともカツ丼にするか、冬夜は頭を抱えた。
カフェテリアと言っても料理は様々だ。
聞いた話では調理は全て機械が行っているから、材料さえあれば実質作れない物はないらしい。
冬夜はポケットから五百円硬貨を取り出すと、券売機で悩んだ末に勝ち残ったカツ丼の券を購入した。
席について給仕しているメイドの女の子に券を渡すと、数秒でホカホカのカツ丼かやってきた。
冬夜が科学の発達ぶりに感心していると、テーブルの対面に一人の生徒が腰掛けた。
誰なのだろうか。空席は他にもあるんだけどな、と冬夜が訝しげな目線を送っていると、その女子生徒は長い黒髪を揺らして頭を下げた。
「?」
冬夜もなんとなしに頭を下げる。
なんでこうなってるのかはわからなかった。ただお昼時のカフェテリアで互いに頭を下げあっている男女二人組は注目の的だった。
冬夜がもう一度問い詰めるような目で女子生徒を見る。
ちなみに質問したかったのだが、あいにく冬夜の口はカツ丼に占領されていた。
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