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「……ふぅ、で、俺になんか用ですか?」
ようやく口の中のものを飲み込んだ冬夜はさりげなく正面に座る女子生徒の顔を見てみる。
可愛かった。少なくとも冬夜のクラスにいる女子の誰よりも。
しかし、仕草や挙動がいちいちじれったく、せっかくの冬夜のときめきが苛立ちに変わっていくのを感じる。
女子生徒はしばらく目線を冬夜に向けてすぐ逸らす、それを繰り返した後おもむろに口を開いた。
「私は風祭 麗璃(かざまつり れいり)。あなたに、お話があります」
当然ながら聞いたことの無い名前を頑張って記憶しようとしながら、冬夜は軽く頷き風祭に話を続けるよう促した。
「……『神の右腕計画』は聞いたことありますよね?」
「なっ――」
あまりにも、不意打ちだった。
冬夜に緊張がはしる。
『神の右腕計画』――文字通り、神の右腕へと人を近付かせる為の計画だ。
確かに冬夜はこの話を知っていた。しかしそれは学校で習ったからとか、ニュースで見たからとかではない。
冬夜がレベル7だから、という理由で科学都市の専門研究所で秘密裏に計画の内容を教えられたのだ。
冬夜の風祭を見る目が厳しくなる。
「……答える前に、お前のことを教えてもらおうか。どこの所属だ?」
必然的に冬夜の口調も鋭いものになる。
冬夜はもちろんどこの機関に所属しているのか、という意味で尋ねたのだが返ってきたのはあまりに拍子抜けした答えだった。
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