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「えっと……白瀬くんと同じクラス……です」
「…………は?」
予想外の展開に思わず固まる。
冬夜は犯したミスに頭を抱えたくなった。
いくら人の名前を覚えるのが苦手だからって同じクラスのみんなを覚えてないのは駄目だと思うのだ、人として。
「あー、えと、その……ごめん、俺人覚えるの苦手で」
こういう話がしたかったわけではなかったのだが、完全に相手のペースに巻き込まれていて何かを言い出せる空気ではなかった。
「あ、いいんです! 私クラスでも影薄いから……」
「…………」
冬夜はこの場から逃げ出す策を真剣に練り始めようかと考えた。
風祭の何ともいえない寂しそうな作り笑いが冬夜の心をドリルで抉っていく。
「……話題を戻そう。風祭は、どこの組織に所属してるんだ?」
冬夜は普段こういった機密が絡んでくる話を人前でしたりはしないのだが、ここは普通の学生も溢れかえったカフェテリア。いくら何でもピンポイントで盗み聞きされているなど有り得ない。
そういう能力者が能力を発動させているなら話は別だが、冬夜は今特に目立った行動をしていないからそれもないとふんだ。
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