水色の街

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昭和から平成の変わり目の夏… 私は恋人兼幼なじみを失った 私は、部屋にこもるクセがつき、暗い部屋で彼女の好きな歌と写真を見る日々が続いた そんな中、家に一人の訪問者がやって来た 「にぃちゃんだれです??」 ドアの前に居たのは、真っ白い髪の毛に、真っ白いワンピースを着た、私の腰くらいしか身長のない少女だった 「どっから来たの??」 「知らんですよ。起きたらここにいたです」 「お名前は??」 「深雪。みゆって言うですよ!!」 私は前かがみになり、彼女と目線を合わせた 「じゃあみゆちゃん、お家はどこ??」 「知らんですよ」 「まぁ良いや。とりあえず入りな」 「こんにちはです~」 私の後ろをちょこちょこ着いてくる癖 あいつとそっくりだな 「ん~、畳の匂い、久し振りなのです」 「どっから来たのか、分からない??」 「本当に知らんですよ」 「そっか…しばらくここに居たら良いよ。お家を思い出すまで」 「ありがとですよ」 台所で私が冷たい麦茶を入れていた時、深雪がカセットデッキに触れた 「どんなお歌が入ってるですか??」 「かけても良いよ」 深雪がカセットデッキの再生ボタンを押した “水たまりの中で はしゃぎ回る君は~ 口から先に産まれたような 無邪気なおてんば娘~” 「あ、水色の街ですね」 「…」 「ど、どうしたですか!?」 頭の中で、彼女との記憶が渦巻く 何の記憶かは分からないが、無性に悲しい 勝手に涙が溢れてくる 「お腹痛いですか??“健司”」 「大丈夫だよ」 ん?? 何で私の名前を知ってるんだ?? 「何で名前知ってるの??」 「あぁ…いや…な、何でも無いですよ」 と、身振り手振り付きで否定する
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