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僕は僕が生きている理由がありません。知らないだけなのかもしれないし、まだ見つかっていないだけなのかもしれませんが、とにかく今、生きている理由がありません。
やはりというか何というか、間の悪さと雨男が積ったらしく、朝から曇で昼以降は雨続きという日でした。
4回目ぐらいの三重は、さすがに見慣れてきました。
シャッターが下りっぱなしの商店街も、車の通りの少ない国道も、色んな意味で色あせてしまっている街も、繁忙期でなければ人のまばらな神宮も、最初に見たときから何も変わっていません。
でも、やはり僕は伊勢が好きです。伊勢にはお気に入りの場所があるのですが、一度行ったときに見つけられず、その翌年にようやく見つけることができたのですがその1年の間に台風で崩れてしまったらしく、おまけに崩れる前からかわかりませんが住宅地に開拓されてしまっていました。それにもかかわらず、その場所を見つけられたときの僕の感動は非常に大きなものでした。
“来るべき場所に来れた” そんな気がしました。
近鉄奈良駅から電車に乗りました。
初めて乗る線なので、急行なのか、特急なのか、準急、区間準急、普通、どれに乗ればいいのかわかりませんでした。
駅員に聞いて急行に乗り、正面の扉に背を預けて出発を待っていると、隣に女性が立ちました。椅子に座ればいいのに、彼女は何を思ってこんな怪しい男の隣に立つのか、不思議でした。
287キロメートル
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