一筋の、

2/2

31人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
世界が真っ暗で真っ暗で。 真っ暗闇なんだ。 なあ、俺… あんたが居なきゃなんも出来ねーよ。 「シノ、シノ!」 「なーに」 「あのねあのね!」 「分かったから落ち着け」 真っ暗な俺の世界。 真っ白なあんたが、光みたいに照らしてくれる。 だからさあ、どこにも行かないで。 すぐフラフラどっか行っちゃうから、俺心配なんだよ。 「…居た、」 「あ、シノ!」 「何してたの」 「雲がね」 「雲?」 「うん。今日風が強いから雲の動きが早くて」 「うん」 「だからここでずっと見てよーって」 ほら、俺の気も知らないあんたはこんなにも自由。 だから目が離せない。 俺の前から、いつか消えてしまいそうだから。 「相武さん…」 「うわ!」 「あい、ぶ、さん…」 「…シノ?」 堪らなくなって、どこにも行ってほしくなくて。 ぎゅっと抱き締めた。 そしたらさ、俺の大好きな太陽みたいな笑顔で言ってくれるんだ。 「大丈夫だよ」 「なに、が」 「俺はシノから離れない」 「…っ」 「ずーっとシノの傍に居るよ」 「相武さん…」 世界が真っ暗で真っ暗で。 真っ暗闇なんだ。 なあ、俺… あんたが居なきゃなんも出来ねーよ。 でも、 真っ白で真っ白で。 光みたいなあんたが傍に居たら。 俺はさあ… なんだって出来る気がするんだ。 ─END .
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加