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「でもね…、俺はそれでもいいんだ」
落ちてる携帯を拾い上げ、ポツリと話始める。
「今のままじゃダメだって分かってる。でも、それでも、竹准の傍に居れれば、少しでも必要とされてんなら、俺はそれだけでいいんだ」
シノはすごい悲しそうな顔をして俯いた。
お願いだから…
もう、何も言わないで。
「ちょっとごめんね」
そう言って席を立ち、店の外に行き、着信履歴から彼の番号を押した。
『もしもし』
「もしもし、ごめんね。すぐ出れなくて」
『お前がすぐ出ないとか珍しいこともあんだな』
「飲んでて、携帯気付かなくて」
『まぁいいや。今から家来ね?』
「あ、うん。…1時間後でもいい?」
『…今すぐ来いよ』
「分かった…」
携帯を閉じ、また一つため息を吐く。
どうせ行ってもヤるだけ。
そこに…、愛はない。
セフレだから当たり前なんだけど…
虚しいとか悲しいとかそんな感情はもう感じない。
どんな形であれ、傍にいれる。
それだけで満足なんだ。
携帯をポケットにしまい、店に戻った。
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