近くて遠い

8/10

31人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
─N side タクシーに乗った相手を見送り、酔いを冷ます為に歩きだす。 毎回のことだけど、流石に最近はキツい。 だって俺は相武さんが好きだから。 もうずっとずっと。 『俺ね、…竹准のこと好きなんだ』 『今日竹准とね!』 『そろそろ告っっちゃおうかなーって』 『さっき告ったんだ。振られたんだけど……、セフんなろうって言われた』 『もうツラいよ…』 相武さんが、准くんのことを好きだと自覚してからずっと相談に乗ってた。 好きな奴の恋愛相談なんて辛いだけ。 でも、その分一緒に居る時間は増えた。 それだけでよかった。 初めは片想いだし、って軽い気持ちだったのも否定出来ない。 その内、相武さんが幸せなら准くんと結ばれてもいいって思えて。 でも… 相武さんの告白は虚しく散り、今の関係になったと聞いた時は本気で准くんを憎んだ。 辛そうな顔が見たくて応援してたんじゃない。 ただ、幸せになってほしかったから。 「好、き…」 呟いたたった2文字の言葉は、暗闇に飲み込まれて消えた… .
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加