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─N side
タクシーに乗った相手を見送り、酔いを冷ます為に歩きだす。
毎回のことだけど、流石に最近はキツい。
だって俺は相武さんが好きだから。
もうずっとずっと。
『俺ね、…竹准のこと好きなんだ』
『今日竹准とね!』
『そろそろ告っっちゃおうかなーって』
『さっき告ったんだ。振られたんだけど……、セフんなろうって言われた』
『もうツラいよ…』
相武さんが、准くんのことを好きだと自覚してからずっと相談に乗ってた。
好きな奴の恋愛相談なんて辛いだけ。
でも、その分一緒に居る時間は増えた。
それだけでよかった。
初めは片想いだし、って軽い気持ちだったのも否定出来ない。
その内、相武さんが幸せなら准くんと結ばれてもいいって思えて。
でも…
相武さんの告白は虚しく散り、今の関係になったと聞いた時は本気で准くんを憎んだ。
辛そうな顔が見たくて応援してたんじゃない。
ただ、幸せになってほしかったから。
「好、き…」
呟いたたった2文字の言葉は、暗闇に飲み込まれて消えた…
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