ヤマアラシのジレンマ

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なあ、知ってる?ヤマアラシのジレンマって。 お前バカだから知らないだろうけど。 修さんにね、お前らってまさにそれだよなって言われたんだ。 そんなことをあんたに言ったところでなにも変わらないだろうし、バカだから考えすぎて変に解釈して余計こじれるだけだろうけど。 これ以上あんたを傷つけたくないし、困らせたくない。俺だって傷つきたくない。 でも近付きたくて、体温を感じたくて。結局のところ傷つけて、傷つけられて…。 ああ、やっぱり修さんの言う通りだ。 好きだから近付きたい。いろんなことを知りたい。 つまるところ自己欲でしかないんだ。 そんなんじゃダメだって分かってても、離れたら離れたで俺は生きていけない。 どうしたらあんたとの距離は心地良くなるの。 近付いたはずなのに心は寒いよ。 「しーの、なに考えてんの?」 「いや、なんもない」 「そ?そういえばさー、」 いつもの笑顔で話しかけられるだけで、それだけで心は暖かくなる。 ああ、そういうことなのかな。 もしかしたらあんたとの心地いい距離が見つかったのかもしれない。 ほどよい、お互い傷つかない距離が。 「好きだよ、相武さん」 「いきなりなんだよ」 「思ったから言っただけ」 「ふふ、妙に素直じゃん」 「うっさい」 口が悪くて素直じゃない俺を受け止めてくれる。 それだけでいいじゃないか。 他になんにもいらないから。 ずっと一緒に居てくれさえすればそれでいいんだ。 ーEND .
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