866人が本棚に入れています
本棚に追加
「徹……には……、私……なんかより……良い人……見つかるから……。だから……泣かないで……。笑ってよ……」
「何言ってんだよ！ 諦めてんじゃねぇよ！！ 頼む……俺のために……生きてくれよ……」
俺の目からは涙が止まらない。なんで一番苦しい沙織が俺を励ますのか……。
「……泣かないで……。笑って……」
「徹くん……。娘の…沙織のお願いを聞いてあげてくれ！ 頼む……」
俺は沙織の父にそう頼まれた。
沙織の父の目は真っ赤に充血している。
俺はそのお願いを聞き入れると静かに笑って見せた。
「沙織……。笑ったぞ……」
俺は涙を流しながら沙織に笑顔を見せた。
すると、沙織は静かに笑うとそのまま息を引き取った。
「沙織ーーー！！ うわぁぁぁ～～」
俺は沙織の亡きがらに顔を埋めて泣いた。
涙が流れなくなるまで。
最初のコメントを投稿しよう！