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翔と私は出会って一年と半年位経ってようやく恋人同士になれた。
付き合って始めの頃、私は翔と向き合うのが怖かった。なんでかは今でもわからないけれど。
翔との付き合いは今までの延長のように始まって、映画に行ったり飲みに行ったりしていた。
翔と男と女になるのが怖かった。
私はまた逃げた。
一人が怖いはずなのに2人になるのはもっと怖かった。
その頃私は24歳になっていた。
だから休みの日は翔以外の人と遊んだ。翔にドタキャンも何度となくした。
浮気もした。
浮気という意識のない浮気だった。
翔とは体の関係はまだない。
キスすらしてない。
私がずらしていた。
翔とは怖かった。
ただ何となく。
そんな曖昧な付き合いの中3ヶ月が経過していた。
その日は翔とご飯に行く約束だった。
私はいきつけのバーで翔を待った。翔を待ったのは初めてだと感じた。
翔はいつも待ち合わせには早くきていた。そんな翔が遅刻するのは珍しいなと違和感を感じた。
40分程遅れて翔がやってきた。
「いやーごめんごめん。」翔がいつもの笑顔だった。
私は安心し翔と飲みはじめた。
翔は「今日は大事な話をしにきたんだ」と突然話を始めた。
私は一瞬、浮気バレた?と心が騒つく。
そんな思いとは裏腹に翔が話した事は意外な?話だった。少なくとも当時の私には意外な話だった。
翔は「俺は今までにない位、小夏の事が好きなんだ。だから小夏にドタキャンされたり相手にされてないのが辛い。小夏は他に好きな奴いるの?」
と聞いた。好きな人なんていない。好きなのは翔だけだ。
私は「いないよ。」と答えた。
翔は話をやめなかった。私はその続きが聞きたくなかった。
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