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翔から切り出されたとはやはり別れ話だった。
翔はとても言いずらそうに辛そうに見えた。
私は「別れたくない。今までごめん。私は翔を本気で好きになるのが怖かった。だけどそれ以上に今翔を失うのが怖い。」
と答えた。
嘘はなかった。だけど浮気は告げなかった。浮気を告げて楽になるのは自分だけだ。翔にその重荷をパスするのはあまりに残酷な気がした。だから私が一生背負う。そう決めた。
翔はしばらく考えて「わかった。続けよう。」と答えた。
私は今までの自分を恥じた。翔をここまで追い込んでいた自分。ずるい自分。
翔と歩いて行く道だけを信じると帰り道、声に出さずに誓いながら。
翔とはその話し合いの後、もの凄い勢いで距離が縮まった。
週末にはドライブに行き平日はご飯にも行った。
あれから二週間、初めて翔の家に泊まった。
優しい夜だった。
翔の胸の鼓動が激しく伝わる。こんなに優しく抱かれた事は今まであっただろうか…
翔とは朝まで抱き合って眠った。
出会いから二年近くたとうとしていた。付き合ってからは3ヶ月目になる。
この日を私は今でも忘れない。
翔との初めてはまるで人生の初めてのように緊張し暖かくて優しかった。
翔が私を待っていてくれた事も凄く奇跡のようで、翔がいる事さえも奇跡でしかないと思った。
こんな私を愛してくれて幸せにしてくれる。
翔は私の全てになった。
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