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そんな京都旅行が終わり季節は再び冬を迎えた。
12月。
相変わらず翔は休日も結婚パーティーやら飲み会やらと予定が埋まる。
それでも私とは毎週必ず会っていた。平日も何度も。ただ、翔の外出が増えたのだ。ただ、それだけ。
そう信じていた。
翔が週末結婚パーティーだと東京へ帰った。私は「お土産よろしくね。」と言った。今までお土産は当たり前に買ってきてくれて私はそんな事頼んだことは無かった。
不安だった。本当に東京?結婚パーティー?
すでに疑惑へと違和感は変化していた。
私はあえて定番以外のお土産を頼んだ。あえて。
その週末は私は翔がいなくて暇になり、以前から気になっていた親知らずを抜きに歯医者へいった。
翔が東京から戻りお土産をもらった。それは私の頼んだものではなく、定番のものだった。
まぁいいか。東京に行っていた事がわかればそれで良かった。
クリスマスが近づいた頃、翔が言った。
「イブはどっかでお食事行こうね。」
私は「うん!」と答える。
でも翔は話を続けた。「クリスマスなんだけど夜から会社で飲み会が入ったんだ。課長が急きょ異動になって。夕方までは一緒に入れるからごめんね」
私はその話が本当か嘘かは私にはわからない。
最近、翔の態度にイライラしていた私は
「もう勝手にしてよ」
と告げた。
翔と思い沈黙のままそれぞれ別の事をし、半日位経過した。
翔が沈黙を破る。
「仕事だから仕方ないでしょ。俺だって会いたいんだから。」
そういわれた。仕事と言われたら私は何も言わない。翔はそれを知っている。 「翔が最近わからない。クリスマスだけじゃなくて翔の会いたい気持ちが伝わらないんだよ」
堪え切れず今までの不安が涙に変わる。
翔に見せた初めての涙。
翔は驚いた顔をしたけど私を抱き締める。
翔を信じよう。
そう思った。
翔は浮気をするような男ではない。
そう信じていた。
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