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愛した人を憎めますか?
年が明けて1週間がたつ。翔は平日に出張にいった。
翔がいないので私は年末に出来なかった大掃除を始めた。
雑誌などを集めて、紙袋に詰めた。玄関に移動する途中、重さにたえきれず落としてしまった。
あちゃーと思い拾い集めていたら見るべきでは無かったものがあった。
温泉のパンフレットだ。 そこには日付やチェックインの時間などがメモしてあった。
翔が結婚パーティーへ行くと言った日だ。
みかちゃんと行った。
胸が張り裂けそうになる。その瞬間、床に吐いてしまった。
しばらく放心した。
けれどそれも終わったことだ。今更だ。
見なかった。私は見なかった。
あの東京土産は誰かに頼んで送ってもらったんだろう。そう思って、ふざけるなと怒りはとまらない。
だけど私にはもう怒る元気すらなかった。
終わった事。話し合いは済んだ事。
そう思うしかなかった。
翔が好きだから離れられない。もう私の負けだ。
みかちゃんの件は許す。 そう決めたんだから。
気付けばもう夜中だった。私は急いで掃除を終わらせた。
ベッドに入り眠ろうとした時、掃除機をしまい忘れた事に気付いた。
しぶしぶ起き上がり、掃除機をしまう。
そこに普段からあったのかも知れないけど見慣れないスーツケースが置かれていた。
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