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恋人とはいえ何でもかんでも見てはいけない。
それは私にはわかっていたけれどどうしても中身が気になる。
スーツケースを開いた。
中には四冊のアルバムといくつかの手紙が入っていた。
一冊目を開ける。そこにはまだ私の知らない若い翔の姿が写っていた。
隣には女の子。全部同じ女の子。翔には長く付き合った元カノがいると聞いていた。
きっとその子だ。
…たいしてかわいくないじゃん…
一瞬、嫌な私が喜ぶ。
でもそれも束の間だった。
次のアルバムを開くとそこには私の知っている翔がいた。服も私の知っている翔の服。
そして、隣に写っている同じ元カノ。
日付を見ると私と付き合って半年位の日付。
多分、百回以上見直しただろう。間違いない。被っている。
そしてその写真の横に移るシーサー。
沖縄だ。
私と沖縄旅行に行く一年前、私と付き合って半年の頃だ。
笑える。
もう涙もない。
さらに手紙も読んだ。
翔が大好きでたまらないそんな内容。
そして、最後に書かれたモエよりの文字。
モエの名前には見覚えがあった。
それは一年前の冬の出来事。
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