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一年前の冬、翔は携帯を無くした。
私はその日は会社の飲み会で、飲み会が終わっていつものように翔に連絡した。翔の携帯はつながらない。
私は翔に何かあったのではないかと心配で急いで翔の家に向かった。
翔の最寄りの駅につくと翔がベンチで座って待っていた。
何時になるかわからない私の帰りを寒いホームで待っててくれた。携帯を落としたと言った。
翔はそういう人だ。
私に心配かけてると思い家にいる気には慣れず待っていた。と言った。
翔の家に着き冷たくなった翔を抱きしめ「心配したんだよ」「でも待っててくれてありがとう」と告げた。
次の日、翔と携帯を買いに行った。新しい携帯。
翔は携帯のデータが無くなった。翔は落ち込むわけでもなく、用があれば相手からかけてくるからと言っていた。
翔は誰のアドレスも登録出来ていないから、誰からきたのかいつも内容みて判断していた。
そしてそんな話をしていたらまた翔の携帯がなった。
翔が携帯を閉じた。そこにはモエの名前。
私には不思議だった。携帯を替えてばかりで登録出来ていないのに、モエの名前だけは確かに表示されていた。
私は気にはなったが聞かなかった。たまたま早い段階で連絡がきただけだと思うようにした。
今思うときっとずっとモエとは続いていたんだろう。遠距離で。
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