想紫苑

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「ずいぶん遅かったな」 彼は言った。 「忙しかったんだ。心を亡くすくらいに」 私は答える。 「お前が忙しいなんて事、あるんだな」 「君よりは、考える事がたくさんあると思うよ」 「俺はてっきり死んでるのかと思った」 「ああ、死ぬところだった」 笑って茶化す彼に、私は真顔で答えていた。
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