黒い猫

13/16
前へ
/216ページ
次へ
 そして、席につくと陸人が口を開く。 「えーと、それでね、君の――」 「陸人、煙草が切れた」 「ストックあります。持ってきますね」  また話を中断されて、少し複雑な表情をしながら、戸棚から取り出した煙草を手渡し、椅子に座る。  いや、座りきる前に賀原貴晄が先手を打つ。 「陸人、新聞」  沈黙が流れた。 「……わ、私持ってく――」 「いいよ。佐和ちゃん」  即座に平坦な声音で返され、浮かした腰を下ろした。  ……うわ。陸人、怒ってる。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加