黒い猫

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「……先生。わざと、ですよね?」 「まあな」  無表情で問い掛ける陸人に煙を吐きながら肯定する。 「何で邪魔するんです? 別に僕は彼女を追い出す気はないんですけど」 「だったら何も聞くな。黙って置いとけばいいだろ」 「でも、いざという時の連絡先くらい――」 「無意味だな。こいつ捨て猫だから」  その発言に陸人はぽかんと口を開いてる。 「す、すて、ねこ?」 「そ。俺が拾ったから、俺がご主人様なわけ。なあ、佐和」  頷きながらも、呆気に取られてる陸人の顔が可笑しくてポーカーフェイスが崩れそうになった。
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