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「陸人、タオルー」
賀原貴晄が靴を脱ぎながら、家の中に向かって叫ぶと、バタバタと走って来る音が聞こえた。
「……りくと?」
私の呟きが聞こえなかったのか、男は何の返事もせずに白衣にシャツにと脱ぎ始めていた。
不意にリビングあたりと繋がっているだろう扉が勢いよく開き、茶色がかった黒髪に犬のような愛嬌のある男が姿を現した。
「先生! おかえりなさい! やっと帰って来たんですね。タオルなら用意してますよ、って……せ、んせい?」
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