黒い猫

6/16
前へ
/216ページ
次へ
「あぁ~、もうわかりましたよ。とりあえずご飯にしましょう。えーと、さわちゃんだっけ?」  背を屈めて同じ目線に合わせた陸人に小さく頷く。 「そのコート貰うから、脱衣所で体拭いて。大きいかもしれないけど着替えもあげるから」 「……ありがとう」  ぽそっと小さな声で告げると、彼は想像通りの人が良さそうな笑顔を私に向け、走って着替えを取りに行った。  だから、彼は気付かなかった。  私が怯えて俯いたことに。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加