4/10
前へ
/17ページ
次へ
部活へ行く生徒や帰宅する生徒でごった返す昇降口で、ハッと思い出してしまった。 何でこのタイミング…?って自分を責めたくなるほど、微妙なタイミングで。 「ユウリ」 「ん~?」 「やっぱ先帰ってて」 「え?何で?」 ポカンとした顔でそう聞いてくるユウリには、きっと分からない。 多分ここにいる生徒の大半は分からない。 戻る意味なんかないじゃないか、と言うに決まってる。 でも説明をしないとユウリも納得いかないだろうし、少し伏し目がちに呟いた。 「…当番」 「は!?」 「………」 「何!?」 コイツ……絶対気付いてる。 気付いてて「は!?」って聞き返してる。 だから、予想できたんだけど 「掃除当番…なんだよね」 意味もなくもう一度言ってみると、今度は眉間にシワをよせ 「何?掃除すんの?」 いやいやそんな不機嫌に言われましても。 僕はただ掃除当番なだけで。 まぁ"掃除"当番だから、掃除はするんだけど。 「…うん」 「本当に!?何で!」 もう最終的には疑問文ですらない言葉を浴びせられて、何とも理不尽な立場にいる僕。 「だって掃除当番だし」 「真面目か!」 「じゃないと成績とかに響くかもだし」 「真面目か!」 「まぁ、教室には誰も…」 ……いねぇけどな!!!  
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

412人が本棚に入れています
本棚に追加