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部活へ行く生徒や帰宅する生徒でごった返す昇降口で、ハッと思い出してしまった。
何でこのタイミング…?って自分を責めたくなるほど、微妙なタイミングで。
「ユウリ」
「ん~?」
「やっぱ先帰ってて」
「え?何で?」
ポカンとした顔でそう聞いてくるユウリには、きっと分からない。
多分ここにいる生徒の大半は分からない。
戻る意味なんかないじゃないか、と言うに決まってる。
でも説明をしないとユウリも納得いかないだろうし、少し伏し目がちに呟いた。
「…当番」
「は!?」
「………」
「何!?」
コイツ……絶対気付いてる。
気付いてて「は!?」って聞き返してる。
だから、予想できたんだけど
「掃除当番…なんだよね」
意味もなくもう一度言ってみると、今度は眉間にシワをよせ
「何?掃除すんの?」
いやいやそんな不機嫌に言われましても。
僕はただ掃除当番なだけで。
まぁ"掃除"当番だから、掃除はするんだけど。
「…うん」
「本当に!?何で!」
もう最終的には疑問文ですらない言葉を浴びせられて、何とも理不尽な立場にいる僕。
「だって掃除当番だし」
「真面目か!」
「じゃないと成績とかに響くかもだし」
「真面目か!」
「まぁ、教室には誰も…」
……いねぇけどな!!!
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