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消灯する3時間前、私は車内検札に出た。
不正乗車客から料金を徴収しつつ、私は先頭車の方へ進んでいく。
途中、あの少年と会った。
「切符を拝見致します」
少年は無表情で切符を差し出した。
どうやら終点、宮崎駅まで行くらしい。
「さっきのはお母さんかい?」
「はい」
「そうか、頑張ってな」
「ありがとうございます」
暗い乗客を明るくするというのは勿論、車掌の仕事にはない。
この時、話しかけていたのは車掌としての私ではなかった。
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