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「まもなく宮崎に着きます。本日も国鉄をご利用いただきましてありがとうございました」
もう10分としないうちに宮崎に着く。
今朝からあの少年とは会っていない。
ピーーーーーーーーー
警笛を響かせ機関車DF50は宮崎駅にすべりこんだ。
私の彗星常務ももう少しで終わる。
「宮崎,宮崎です。どなた様もお忘れ物のないようご注意下さい」
シューーーーーーーー
ドアを開ける。
こんなに車両に乗れるのかというくらい人が降りてきた。
「3番ホームに到着の列車は回送列車です。まもなく発車します」
駅のアナウンスがいう通り、この列車は回送列車として、これから車庫に入る。
ピリリリリリリリリリリ
笛を吹いてドアを閉めた。
ビィィィィィ
出発合図を送り機関車を出発させる。
機関車が動きだした時、私はとある人の塊の中にいるあの少年をみつけた。
どうやら少年も私を見ていたようで目が合った。
「頑張れよな」
白い手袋をしている手をあげて、そう言った。
この時だけは、車掌を忘れていた。
あの少年は深々とお辞儀をした。
こうして見知らぬ少年と私の物語は終了した。
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