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「はい、一つ質問です。」
「ん?なんだ?」
「ここはどこですか?」
「白い部屋だろ。」
「ほぉ…。」
僕は年寄りくさい返答をする。白い部屋ね。見えてるけど色わからん。白黒にしか見えん。ん?あ、明るいから白いのか。
「質問は受け付けてるぞ、まだあるか?」
次の質問をぶつける。
「僕は誰ですか?」
「ん?お前はお前だろ?」
「…そうだね。」
普通名前とか教えてくれるもんじゃないだろうか…。回答側がだめっぽいぞ、どうしよ…。てか、部屋の外で工事でもしてるのかな?耳の中まで騒音がすごい。
「僕の名前はなんですか?」
「ないよ。」
「ナイヨ…ですか?」
「ん?いや、違うよ。名無しってこと。」
「ふーん、無いんですか。」
「うん。」
あんまり、ショックじゃない。それよりもほんと、機械音うるさい。騒音問題だろ、これ。
鼻から入ってきた空気はどこかで焚き火でもしているのか焦げ臭い。
変なの。窓もないのに、焦げ臭いなんて。
仕方ない。他にできることもないし、質問していこう。
「僕ってここに来る前何してました?」
「執事として、すごくよく働いていたよ。」
うーん。ますますわからなくなった。僕って結局、名無しの癖に執事してた奴なの?どういうこと?だいたい、なんで記憶ないの?
考え込もうと手を頭にやろうとして、動かないことを知る。力が伝わらない…。
「あれ?」
「ん?質問か?」
「えっと、僕の体って今どうなってますか?」
「さあね。」
さっきまで即答していたのに、ごまかす声。天井の方からインターホンのような弾む音が鳴る。
「次の質問で最後だよ。」
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