0人が本棚に入れています
本棚に追加
声が言った。じゃあ、と僕は質問する。
「僕のご主人様はどこですか?」
声が優しく笑った。
「お前の隣で死んでるじゃないか。」
ああ、そうか。白い部屋は棺か。思い出した。僕はアンドロイドで、だから、主人と生死を共にする。口を動かす度に機械音が聞こえる。そして、外はきっと火葬場で棺の中の僕と主人の体を焼いているのだ。だから焦げ臭い。
「ああ、マス…た、ぁ。」
横を向いた。爆発音が首で鳴り、砂嵐が目の前で暴れる。マスターの顔は見えない。暗くなる寸前で真っ赤な文字が浮かび上がった。
「ERROR」
最後までマスターの顔は見えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!