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暫く車に揺られていると新山の家の前に着いた。
安西と神野は運転手のおじさんに料金を払いタクシーから降り、玄関先に立つ。
「来たものの…どうするよ?」
「彼女がいたら適当に挨拶して素直に帰ろっか?いなかったらいきなり来て帰る、なんて怪し過ぎるじゃん?…だから泊めて貰おうよ。」
神野は安西の提案に小さく頷くとチャイムを鳴らした。
「はーい、」
すると中から直ぐに新山の声がし、ドアが開いた。
「どちら様ですか…ってルカ君に安西じゃん。何、いきなり。」
「来ちゃった…みたいな?」
いきなりどうしたのかと聞いてくる新山に、適当に言葉を濁しなから玄関に並べられた靴を見る。
玄関に靴箱はなし。無造作に並べてある靴は
――男物だけ。
挙動不審な安西とやたらと静かな神野を怪訝とした表情で見つめていたが、
「まあとりあえず上がれば?」
「あ、うん!」
急に来たことは過去何度かあった為、不思議そうにしながらも入るように言い、新山はリビングへと消えていった。
神野は安西の耳許に口を寄せ、「残念、」と小さく呟いた。
そんな神野の頭をぽんぽん、と軽く叩くと安西は靴を脱ぎ捨て、新山の後を追うようにリビングに向かった。
そんな安西に神野も慌てて続いた。
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