第一章/変動はいつも突然やってくる。

10/16
前へ
/136ページ
次へ
「…変わっているかどうかは、この際…置くとしてだ。ルナと言ったな?子供を見なかったか?」   「はい?子供ですか?見てないですね。もしかして…散歩ー」   「断じて違う!」   ルナの言葉にかぶせるようにルーディは叫んだ。 (だが…このルナと言う女は俺とは反対からきた。なら子供は…別の場所か?一応この先を見てみるべきか) 「あら?そうですか。残念ですね…最近は散歩する人が減ってしまったのかしら?」   ルナは切なく声を漏らす。   「…洞窟じゃなければ、そこそこいると思うが…」   この言葉を聞いて、ルナは瞳を輝かせて言葉を発した。   「では…外に出ましょうか!」   ルナは腰に手を当て、ルーディが来た方を指す。   「ああ。出るなら一人でな。俺は子供を探さねぇと」   ルーディは松明をルナの奥に向けて足を動かし始めた。   その瞬間、耳をつんざく轟音が祠を包んだ。   「くッ!?なんだ!何が起きた?」   耳の奥からキーンと、嫌な高音が聞こえる。   (…耳が痺れた?)   また轟音が鳴いた。 しかし、二回目の轟音で何が起きているかルーディは理解した。  祠が崩落しているのだ。   それも、どこからか爆薬のようなものを使ってだ。   「…火薬の匂い…!」   なんにしても、崩落から逃げる為に入り口に戻るしかない。奥は…もう瓦礫の山だ。   それにー   「…ああ…私の散歩コースが…」   ルーディの背後で、嘆きの言葉がなんとか聞こえてきた。    (さすがに無視はできねぇよな)   ルナも耳がやられたのか、声を出して音を確認している。   「ー出るぞ!」   言葉をかけて、ルナの手を取り…祠を駆け抜ける。   ルナは驚いていたが、すぐに状況を理解し、祠を出る事に専念し始めた。   松明の灯りだけが頼りだったが、一本道だから直ぐに入り口付近まで帰ってこれた。   「…見えた。あれが出口だな」   ルーディは月の光で微かに見える外を確認し、ルナと一緒に一気に抜け出した。   「…外?」   ルナがゆっくりと言葉を発した。   その声に反応して、ルナを見ると… 純白のドレスは、爆薬で生まれた砂埃であちこち汚れていた。   勿論、美しい顔も残念な感じになっていたが…それでも美貌は揺るぎない。   ルーディは自分もルナと同じ状態だろうなと思い、マントを払って…少しでも砂埃を落とそうとしている。   「…なんとか無事だったな。ルナも無事か?」   と、声をかけた瞬間…やっと気付いたー
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加