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ルーディはもう一度、義賊もどきを見た。
さっきまで、ルーディ達を馬鹿にしていたような表情は全くなくなっていた。
そこにあるのは…
ー畏怖。
ただそれだけだ。
「おふぅ…」
義賊もどきのリーダー格が、変な声を出しながら頭を振り…
しりもち姿のまま、ルーディを見た。
「ん?今…ルーディ・ルールと聞こえたが…はいッ!?ルーディ・ルールッ!?」
義賊もどきのリーダー格は立ち上がりかけた腰をまた地面に落とし、痛ッ!?と情けない声を上げた。
「…兄さん…何したの?」
ルーディの後ろから溜め息混じりの呆れた声が飛んできた。
「ああ?俺は別に何もしてねぇよ」
振り返って、エディアに本心からそう伝えた。
「で、なんなんだ?」
ルーディは視線をエディアから義賊もどき達に移してそう問いかけた。
「ひッ!?だってあんた…『紫の寡黙』だろ!」
「はぁ?なんだよ…紫の寡黙って」
ルーディは心底呆れた口調になった。
「噂で聞いた…無言で、その…紫のガントレットで盗賊達を脅して恥ずかしい言葉を夜な夜な言わせて回って…ひぁッ…剣を構えないでッ!?」
ールーディは無言で剣を構えたが、義賊もどきの話を聞いて…無駄に脱力感に襲われていた。
「…さて。エディア、陽が暮れたらこんな阿呆共が増えそうだし、先を急ぐぞ」
ルーディは最近気温が高いせいで、頭にキノコでも生えたのだろうと勝手に理由決めして、義賊もどきを無視する事にした。
エディアがまたもや、待ってと声を上げた。
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