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空で輝いていた太陽は沈み、真っ赤な光を生み出している。
「ふぅ…阿呆に絡まれたが、完全に太陽が沈む前に着けたな」
ルーディは、うむうむと一人満足していた。
「ー兄さん…本当に思い当たらないの?火がない所に煙りは立たないって言うしさ!本当は何か夜な夜な徘徊してたんじゃないの?はッ!?まさか…夢遊病?」
はぁ、とルーディは深い溜め息をついて声を絞り出した。
「ー阿呆かッ。何が悲しくて、むさい男共を脅して恥ずかしい台詞を吐かせるんだ」
エディアは楽しそうに、返した。
「ー優越感?そう言えば、兄さんっていたぶるの好きだって言ってたじゃん!特にむさい男のッ!」
「言ってねぇよッ!!はぁ…疲れる…もうミルガ村の宿に入ろうや」
ルーディは無駄に疲れた身体を早く休めたくて、声を出した。
「そうだね。明日からは歩き続ける事になるだろうから、早くゆっくりしよう」
ようやく馬鹿な話しが終わってルーディは心底、安堵した。
ミルガ村…
アスカナとソリアの中間地点…微妙にズレてはいるが、唯一休める休憩ポイントだ。
村自体は特産品がある訳でもなく、非常に質素な作りだ。
だが商人や旅人がよく休憩に来るから、寂れる事はなかった。
本当に何もない小さな村だが、ルーディとエディアは気に入っていた。
何故ならアスカナやソリアみたいに大きな街は、ゴミゴミしているからだ。
そんな街で育ったからこそ、ミルガ村は二人のお気に入りになっていたのだ。
エディアはふと薄暗くなってきた空を見上げると、小さくも強い輝きを放つ星を見つけた。
(一番星かな?僕ジンクスで一番星を5日連続で見つけると良いことがあると決めているけど…今日は何か良いことがありそうな予感)
と、エディアは一人納得してルーディに早く宿に行こうと声を出していた。
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