第一章/変動はいつも突然やってくる。

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しばらくすると、ルーディの目の前にくたびれた木材が散っている場所が目に入った。   「あそこか?」   ゆっくりと気配を殺して、木材の欠片が散っている場所へと進む。   ルーディは手頃なサイズの欠片の一つを拾って、ポケットから布と瓶に入った液体を取り出した。   布を上手く木材の欠片に巻きつけて、液体を染み込ませる。   そして…   ポケットから小さな火打ち石を取り出し、カッカッと打ちつけて火花を作り…布に当てると妙に明るい光を発した赤い炎が生まれた。   「こんなものか」   と、簡易松明を作って片手持ち…声を上げた。 辺りを照らすと…くたびれた木材が散っている奥に空洞を見つけ出した。   「あれか?」   松明を近づけると、空洞の奥が照らされて、中の様子が見えたが…想像以上に深い。   「…子供の足だ。そこまで奥には行ってないだろうが…この闇の中で一人か。正直な所…ゾッとする」  だからこそ、早く見つけてやらねばと深い闇の入り口に足を踏み入れた。   真っ暗な世界。 嫌な噂があるだけに、どうしても不気味な雰囲気を感じてしまう。   それでもルーディは少しずつ少しずつ闇の奥へと進んでいく。
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