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森澤は分かっていたのだろう。
もう元には戻れないことを。
あの頃の様にただひた向きに愛して飛び込んで行くことはもう出来なくなっていた。
太一と家族を裏切ることは出来ない。
「―ごめんなさい…」
森澤は織衣の肩を抱いた。
「―ずっと言いたかった」
森澤は優しく微笑む。
「―お前と出逢えて良かった」
「―私も…」
織衣は森澤の胸で声を出して泣いた。
―こんなに愛する人に出逢えて良かった。
「ありがとう…先生…」
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