一章~不思議な体験

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『ありえない事はありえない』 この言葉はきっと二次元の話しだと思っていた。 そう…あんな体験をするまでは。 私、美月桜(みずきさくら)高校一年生。 ごくごく普通の女の子。 父も母も共働きで二つ上に兄が居る。 私には、似合わない出来のいい兄だ。 今日も、いつもの様に自転車で通学。 その通学中に思わぬ出来事に遭遇した。 『言ってきます。』 『行ってらっしゃい。気をつけてね。』 母が、台所から声をかけた。 『あれ?お兄ちゃんは?』 いつもなら、食卓でご飯を食べてるのに今日は見当たらない。 『お兄ちゃんなら部活があるから朝早く出かけたぞ。』 新聞を読みながら父が言った。 『今日は、早く帰ってきてね。』 『あぁ、分かってるよ』 父もカバンを持って玄関を出て行った。 『帰り寄る所あるの。少し、遅くなるから』 そう言って私も、玄関を出た。 キーンコーンカーンコーン。 チャイムが鳴り響く教室。 授業も終わり私は、急いで教室を出た。 近くにある神社に寄るために。 そこは、九狐尾(クミホ)の言い伝えがある神社だ。私も、あまり詳しくは知らない昔話がある。 魂と言うモノを取られた九狐尾が怒り、村人の首を切り落とし見せ物にした言い伝え。その、九狐尾の魂が眠る神社。 『どうして、此処に来ると胸が痛いんだろう?』 小さな頃から此処に来ると胸が痛かった。 おまけにここ最近、神隠しにあう女の子が多い。 数日後、遺体だけが出てくる。周りの大人達は近寄りもしない。 九狐尾の祟りだと言う大人も多いのだ。 受験を控えた兄にお守りを買って絵馬を書いた。 ガラガラ―パンパン。 『お兄ちゃんが無事に受験合格しますように。』 手を合わせお願いした。 『さて、帰るとするか』 私は、自転車に乗り自宅に急いだ。 その時、何も知らず自転車を走らす私の前に子狐が飛び出してきた。 キキキ―ッ……… 『お願い間に合って!』 私の願いも虚しく子狐をはねてしまった。 自転車を放り投げるように降り、子狐のもとに走った。 『お願い目を開けて!』 子狐はピクリともしない。 私は子狐を抱え、なぜか神社に向かった。 『お願いします。この子を助けてください。』 なぜ、神社に向かいお願いしたのか自分でも分からなかった。
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