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「貴方がハルカ以外に執着するなんて……」
まるで天変地異の前触れですねと言われ、俺は心外だとばかりに顔をしかめる。
ハルカとその辺の男を同列にあげるなんて、一体どんな神経をしてるんだ?
ハルカは俺の率いる『スパイラル』と敵対している族の副総長だ。
いつも闇に紛れそうな黒い服を着ていて、艶やかな金髪との対比が妙に艶めかしい。
その姿に欲情した者はかなりいるだろうが、彼は色々な意味で不可侵の女神だった。
……まず、ハルカに勝てる者がいない。
族同士の抗争では負け知らずで、ほとんど一撃で相手を倒す。
長身でしなやかなに伸びた手足から繰り出される蹴りは強烈だが、動きが優雅なせいか舞を舞っているみたいに見える。
そして、ハルカは俺が唯一負けた相手だった。
護身術として、色々な格闘技を習ってきた俺でさえ、全く歯が立たない強さを持つ男――。
今まで年の割に冷めていて、何者にも執着しなかった俺が、初めて心を動かされた存在だった。
だが、それから半年後、ハルカは忽然と姿を消した。
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