†序章†

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「……ねぇ、ハルちゃん。僕のお願い聞いてくれないと、『スパイラル』の奴らにハルちゃんのことバラしちゃうよ?」 「っ!?」 耳元で囁かれた爆弾発言に、俺は弾かれたように侑を見た。 「……バラすって、そんなことしたら、自分の首も絞めるんじゃないか?」 俺の弱点は、同時に侑の弱点にもなるはずだ。 「……悠。俺がそんなヘマをすると思う?」 急に侑の声が低くなり、ガラリと口調が変わる。 可愛い顔は笑みを浮かべてはいるが、目が全く笑っていない。 確かに侑なら、俺をどん底に突き落とすくらいしそうだ。 コイツは、天使の顔をした悪魔だ。 「……っ。わかった!行けばいいんだろ!!」 侑に逆らいきれない俺は、ヘタレかもしれない。 「じゃあ、ハルちゃん。編入試験来週だから、絶対受かってね」 「……了解」 これは落ちたら、何をされるかわからない。 「あと、これは僕からのプレゼントだから、絶対に使ってね」 強引に渡された紙袋の中身を見て、俺は盛大なため息をついた。
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