紅葉、窓辺の君を

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9月も中旬を迎え、陽が暮れるのも早くなった。 開け放たれたままの窓から少し冷たい風が吹き込む。 カーテンが風に揺れる。 「大分風が冷たくなってきたね…」 窓辺に立つ君の髪が夕焼けに照らされキラキラと輝いている。 風に揺れるカーテンが彼女を僕の目から隠してしまう。 「月子さん…」 彼女を後ろから抱き締める。 冷たくなった手を包み込むようにして握る。 「颯…ッん」 振り返った彼女に唇を寄せる。 触れた唇は少し冷えていた。 「窓、しめましょうか…」 「ん…」 窓をゆっくりと閉める。 閉め終わるともう一度キスをする。 「…颯斗君、今日誕生日だよね?」 「覚えていてくれたんですね」 プレゼントを用意してきたと笑顔を向けられる。 貴女の笑顔が一番のプレゼントだ。 「ちょっと待ってて、鞄の中に…、あった」 薄いオレンジ色の包装紙に包まれた小さな箱。 「HappyBirthday、颯斗君」 「ありがとうございます」 お礼に本日3回目のキスをする。 彼女の頬が紅葉のように赤くなる。 「き、今日よくするね…キス」 「月子さんが可愛いからですよ」 照れて更に頬が赤らむ。 今日はいつもよりたくさんキスをしましよう…。 誕生日を君と一緒に過ごした記念に…。
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