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誕生日なんてものに愛着は無かった。
祝って貰った記憶も無い。
ただ、幼い頃はそれなりに家族に祝って貰いたいと言う願望はあったかも知れない。
──どうでもいい…。
彼女に出逢うまでは、そう思っていた。
「四季君の誕生日って12月5日なの!?もうすぐじゃない!!」
「何を大声で言い出すかと思えば、そんな事か…」
「そんな事じゃないよ!!誕生日って大切な日だよ!?四季君が生まれてきてくれた大切な日…」
ギュッと音がする程強く手を握られる。
「この日が無かったら私は四季君と出逢えなかった。だから、お祝い…したいな」
誕生日を祝いたいと言われたのは初めてで、どうしようもなく胸が温かくなった。
「ねぇ、プレゼントに何が欲しい?」
君の笑顔だけで、いいと思った。
でも、贅沢を言うならば…
「プレゼントには、君が欲しい…」
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