君と過ごす四季 -Spring-

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- はらり、ひらり - ピアノの上に置いた開いたままの楽譜。 その上にヒラヒラと落ちる桜の花びらがとても儚く見えた。 ゆっくりと鍵盤に触れると弱々しい音がひとつ…。 そのまま流れるように音を奏でる。 風に吹かれた楽譜がパラパラと床に落ちる。 「颯斗君?」 不意に聞こえた心地よいソプラノに指が止まる。 「月子さん」 名前を呼べばふわりと微笑み僕の隣に寄り添う様に座る。 「今の、なんて曲?」 綺麗な曲だねっと笑う彼女。 「まだ名前もない曲です」 「颯斗君が作った曲ってことだよね」 颯斗君みたいな曲だねっと彼女は真っ白な楽譜を手に取る。 「優しくて、でも儚くて、まるで桜の花みたいで…」 ひらりと落ちる桜の花びらを両手で包み込み胸に抱え込むように受け止めた。 「……大好き」 少し頬赤らめ微笑んだ彼女に胸が高鳴った。 はらり、ひらり……。 桜が舞う。 彼女への想いの様に…。 ヒラヒラと僕の心に降り積もる。
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