雪時々キス

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昨年は生徒会のみんなに誕生日を祝ってもらった。 あんなに楽しくて、嬉しかった誕生日は初めてだった。 でも今年はもっと嬉しい誕生日になる。 「翼くん、誕生日おめでとう!」 放課後の屋上庭園、生徒会の仕事が終わりようやく出来た二人きりの時間。 差し出されたプレゼント。 綺麗にラッピングされた空色のマフラー。 「空色って翼くんにぴったりな色だと思ったの。気に入ってくれるといいんだけど…」 手編みなんだっと照れる君。 俺は早速巻いてみる。 「すごく暖かいぞ!!ありがとう月子」 「良かった!あっ、雪…」 空を見上げるとチラチラと雪が舞う。 真っ白になってゆく屋上庭園。 「月子…」 はしゃぐ彼女を後ろから抱き締める。 「月子、冷たいな…」 「翼くんも冷たいね…」 彼女は俺の腕の中で反転して向かい合わせになる。 「こうやってると暖かいね…」 「なぁ…、キス…してもいい?」 彼女は真っ赤になって頷いた。 自然と笑みがこぼれる。 そしてゆっくりと彼女の唇にキスをする。 「唇、冷たくなってるな…」 「じゃあ…いっぱいキスして暖めて…」 雪が舞う中で何度も何度もキスをした。 「ありがとう…月子」 誕生日に一緒にいてくれて、誕生日を祝ってくれて、俺を好きになってくれて…。 「誕生日、おめでとう…翼くん」
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